2007/10/12

Oto.Hito.E.Kotoba 23

渚のファンタジー


今時のサーフィン
のBGMと言えば
ジャックジョンソ
ンやトミーゲレロ
になるのだろうが
半世紀も前の定番
はビーチボーイズ
と決まっていた。

ビーチボーイズは
カリフォルニアの
青い空の代名詞と
なったがリーダー
のブライアンウィ
ルソンはサーフィ
ンはやらない内向
的な若者だった。

ビーチボーイズは
バーチャルな架空
の渚音楽だった。

60年代中頃から
ブライアンは楽天
的なサーフ音楽と
かけ離れた表現に
突き進む。消防士
の帽子をかぶって
スタジオで狂って
いきながら・・。

ディズニーガール
という曲で、彼は
内面を告白する。

パティペイジを
聞いて過ごした
ケープコッドの
あの夏の日々
幸福な思い出は
僕のガレージで
ワインのように
熟していく
リアリティは
僕に似合わない
笑っちゃうよね
ファンタジーと
ディズニーガール
僕は戻ってきたよ

ナイーブな思春期
の代弁者だった彼
はスマイルという
幻の作品の製作中
心を病んでスピン
アウト、ドラッグ
と過食症でベッド
の上で長い年月を
過ごすひきこもり
になってしまう。

深く傷ついたのだ
アメリカの若さに
アメリカの理想に
アメリカの夢に。

ミッキーマウスの
初期の顔が凶悪だ
とか、映画ダンボ
のサイケデリック
なトリップの場面
はディズニー自身
がLSDをやって
ピンクの象を見た
から出来たとか、
ディズニーランド
は周囲を森で囲い
現実をゲストの頭
から締め出すため
の完璧なレシピが
用意されてるとか
ディズニーの夢の
工場には数多くの
サイドストーリー
が隠されている。

ディズニーとブラ
イアンウィルソン
がダブってくる。

ブライアンは21
世紀にスマイルを
完成させ、やっと
若さという呪いを
解いたのだった。

いつの時代でも夢
の中で泳ぎ続ける
行為は危険で代償
を伴うのだろう。

シーズンオフの
ビーチサイド
塩辛い空気
クラゲと
サビた
建物
そこで
プカプカ
浮いている
ファンタジー
の泡のカタマリ

ブライアンの音楽
を聞くと浮かぶの
はそんな風景だ。


●タイトル
スマイル
●アーティスト
ブライアンウィルソン
●プライス
2,191yen

0 件のコメント: