2009/06/16

Sweet Dreams Of Magazines


以前も告知した『Sweet Dreams』が発売中です(ブログでのお知らせが遅くなってすいません・・)。全180頁の力作です。本屋や輸入盤屋で見かけたら、手に取ってみてください。僕も末席を汚しています。

福田さんは「単なる音楽雑誌にはしたくない」と言ってましたが、新聞やTVのような超メジャー級のメディアでもなく、急速に力を失っていく総合誌でもなく、かといって旧来のスタンスにおける音楽専門誌やサブカル誌でもなく(大きな括りで言えば、『Sweet Dreams』もサブカルチャーに入るのでしょうが・・)、中間ジャンルとしての読み物雑誌、ライフスタイル・マガジンを目指してるのかな?と僕は勝手に受け取りました。とにかく活字がビッシリと端正なレイアウトの中に収まっていて、内容はインディ・ロックを中心にした音楽がメインですが、舞踏家の旅行記やオバマの選挙レポートや32歳で亡くなったウィキペディア・ピープルの記事や小説やイラストやコラムがアトランダムに並んでいて、個人的に専門誌に感じるような息苦しさは感じません。

出版カルチャー華やかりし頃にデビューした総合誌やライフスタイル・マガジンの多くはマジョリティを相手にしていて、それゆえにそれらを享受できた世代以降との断絶がいま大きくなっているのは言わずもがなな現象です。週刊文春や週刊プレイボーイやエスクワイアや暮らしの手帖や花椿を熱心に読む若者というのが想定しにくいというか(実際に統計を取ってみたわけではないのであくまで仮定ですが)、人間が興味あることを全部扱っちゃう!という総合誌的なものがそっくりそのまま形を変えてインターネットで体現してしまったわけで、マイノリティというかサイレント・マジョリティな人々に届けるパーソナルな視点に立脚したライフスタイル・マガジンというのがこれから模索されていくとしたら、そのひとつの回答がこういう形になるのかなと漠然とですが思いました。

あと、コラムやエッセイって日本の雑誌だと有名人や文化人、功成り名を遂げた人気者が書くというのが慣例になってる気がしますが、僕のイメージでは有名無名は関係なく、そもそもは肩書きや名前とは別のところで(文字通り、肩の力を抜いて)、個人が文章で綴るステートメントというか、中身の面白さや視点の独自性うんぬんで読ませるというか、そういうものだと解釈しています。勝間和代や梅田望夫といったビッグネームと名もない個人が同じようにブログやソーシャルメディアを使って発した意見を均一に一望できるのが、インターネットの本来の良さですが、現実はAmebaの成功に顕著なように、すでにリアルでプロップを得た有名人のブログにアクセスが集まるのが世の常であり、そこにネットの言説特有のパフォーマティヴな特性が絡んできて、脊髄反射しやすいメッセージばかりが飛び交ってるような印象もあります。それを衆愚社会と一方的に決めつけるのは簡単ですが、新しいものって必ずそういう清濁合わせ飲む中から生まれるので、やっぱり目が離せません。とはいえ、じっくり腰を据えて何かを読んだりするには、インターネットってまだまだ発展途上のメディアだなというのが正直な感想です。

先月、今更ですがTwitterを始めました。飽きっぽい自分ですが、今のところは飽きてないです。Twitterで140文字の制限に慣れてしまうと、ブログでまとまった文章を書くのがいきおい難しくなるというのがあり、TwitterとTumblrで動物化が目下進行中の自分にとっては、ブログすら敷居が高くなるというトホホな状況。比較的好き勝手にのびのび書けるTwitterに比べると、ひさびさということもあり、滅法カタい文章になっちゃいました。お粗末。


*追記です。明日はライヴ・イベント&25日までユトレヒトで展示もやってる模様です。


スウィート・ドリームスのスウィート・ワールド展

2009.6.16 (Tue)~6.25(Thu)
NOW IDeA by UTRECHT (03-5468-9657)
www.utrecht.jp/aoyama
〒107-0062 東京都港区南青山5-3-8 パレスみゆき201
定休日:月曜日 12:00pm~8:00pm
*6月19日はライヴ・イベント準備のため、開店時間が12:00pm~4:00pmになります。

ライヴ・イベント
6.19 (Fri) open 7:00pm / start 7:30pm
出演:M.A.G.O., OPQ, shibata & hatano
Admission: 1,000円 (incl. 1drink)

M.A.G.O.: www.myspace.com/mago3
OPQ: www.myspace.com/opq
shibata: d.hatena.ne.jp/aotoao
hatano: www.tamtam-highhat.com

音楽と、そのそばにある文化や冒険を集めたムック『スウィート・ドリームス』第3号の刊行を記念して、ささやかな展示を行ないます。

今回は、その第3号にも掲載している俵谷哲典とセス・ハイによる作品の展示。そして『Kathy』や『Carson』という名前のジンをつくってきたチーム・キャシーの面々と共同で、過去、お互いの発行物上で紹介してきたり、お互いの制作に大きな示唆を与えてくれた音楽や書籍、ジンなどを集めてみました。それらが、テーブルの上に並べてありますので、自由に手に取っていただき、CDやレコードを聴いたり、ページをめくったりしながら壁に掛けられた作品を眺め、のんびりと時間を過ごしてもらえたら、と、思っています。

また、この展示を記念して、チーム・キャシーとスウィート・ドリームスの共同で新作ジンを発行・販売します。今回、ギャラリーに集めたレコードやCD、ジンや書籍の記録と紹介を兼ね、そのひとつひとつを皆でレビューしてみました。言うなれば、スウィート・ドリームスの素、チーム・キャシーの素、とでもいうような1冊です。ぜひ読んでみてください。また、今回、作品を展示していただく俵谷哲典の新作コミックも発行・販売予定。こちらもどうぞお楽しみに!

さらに、会期中の6月19日(金)には、ライヴ・イベントも開催します。『スウィート・ドリームス』第2号にも掲載した「the teachers」という名前で布小物雑貨をつくっている冨岡映里がメンバーのフィメール・デュオ、M.A.G.O.や、玩具や日用品、さらには自作楽器から、愛らしい音の連なりを取り出していくOPQ。さらに、ボルゾイというバンドもやっているshibata(「星新一のショート・ショートのような音楽……」/shibata & asuna「pocket park」評より)が、友人である波田野州平の映像を伴った新ユニットとしてライヴ・デビューします。ぜひ皆様お誘いあわせの上、いらっしゃってください。

俵谷哲典 www.freewebs.com/tetsunori
セス・ハイ www.sethhigh.com
Team Kathy (Popdrome Service) www.popdrome.com