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2010/10/04

Burning Inside

舞踏家、振付師、女優として幅広く活動されている俵野枝さんが、先日「progresso 9#」@FIAT SPACEで発表した新作のダンス「Burning Inside 2010 - Short Version - 」のサウンド編集と一部の選曲を担当させていただきました。

野枝さんとのお仕事は、これで3度目になります。前回の覚え書きはコチラ。今回は、季節が近づいては過ぎ去っていくイメージを5分間のイントロで表現したいということで、春(川のせせらぎ、鳥)、夏(蝉、祭り囃子、花火、雷雨)、秋(カラス、稲穂の揺れる田園)、冬(除夜の鐘、木枯らし)をそれぞれの季節を表す楽曲とサウンド・エフェクトで構成しました。

前半のパートでは主人公の女性を「黒髪」という地唄舞の曲で具象的に描写し、後半のパートではその内面を野枝さんからのリクエストで坂本龍一の曲をミックスして抽象的に描写するという形になりました。1年くらい前に、坂本龍一の曲をいくつか焼いて渡していたのですが、まさか本当に使うことになるとは思わなかったです。

野枝さんには坂本も含むわりとリリカルなピアノの曲も聴いてもらったのですが、彼女のダンスそのものがウェットな要素が強いので、センチメンタルな音だとトゥーマッチになる、感情を抑えたフラットな音の方が強弱がついていいと言われ、なるほどと思いました。

ココからちょっと脱線します(↓)。

坂本の曲というのは、彼の理論武装や高度な作曲術うんぬんといった批評家が好みそうなレイヤーではなく、もっと素朴でベタな次元で現代人が抱える虚無=エンプティネスをすくい上げるところがあって(「戦メリ」とか「エナジー・フロウ」とかまさにそうですよね)、アンビエントの自浄作用とかいうとカッコイイけど、、坂本をここまでポピュラーにした良くも悪くも「癒し」という言葉にも通じる回路って改めて強いなと思うわけです。

これはシニカルに言ってるのではなく、癒しやセンチメントって野暮にも下品にもなりやすいし、私小説やケータイ小説などワタクシゴトの領域に向かいがちなのですが、坂本の曲はそういうベタついた感情を排除というか濾過していて、都会人を気取る(?)僕やあなたが心地よく浸れるだけの上質な天然素材やミネラルウォーターのような安全地帯を担保できるのです。

なんだか書いてるうちにイヤミな文章になってますが(汗)、ナンダカンダと20年くらい坂本さんの曲を愛憎込みで聴き続けていて、様子を見てはこっそりカフェでかけたりしますし、下世話に言えば、主張が控えめで使いやすくシーンを問わない彼の曲はツールとしても優れていると思います(あくまでDJ的な視点です。ファンから怒られそう)。

脱線終わり(↑)。

当日の公演は行けなかったのですが、かなりリアクションがあったそうで一安心しました。ラストに沢井忠夫という箏(琴)奏者の「鳥のように」という曲(野枝さんの選曲)が使われてるんですが、その沢井さんの息子さんに指導を受けている奏者の方が偶然お客さんで来ていたというサプライズもあったようです。「鳥のように」を編集中に何度も聴きましたが、日本の伝統音楽に明るくない僕でも素直にカッコイイ!と思える、モダンでエモでちょっとプログレやサイケの匂いも感じなくはない楽曲です。さらに、沢井忠夫がジャズやクラシックにも越境していた音楽家だと知り、そのまったく古びない自由な音楽をちゃんと聴いてみたいと思いました。


Playlist

Intro

River Walk (天気雨) - Hajime Yoshizawa, GoRo
ぼくのかけら (with ダンスリー) - 坂本龍一
Amb - Rafael Toral

Mix

glacier- 坂本龍一
tama- 坂本龍一
国防総省 - 坂本龍一

2008/09/05

火の番をする女



友人でもある俵野枝さんが谷中のお寺で行うショーケース・イベントをお手伝いした。ProToolsを使って、と言うのはウソで、実際は、Audacityというフリーソフトで彼女が用意した音源(効果音やお経など)をコンピュータで編集した(フェイドイン/アウトのエンベロープが描けるエフェクトを使う必要があって、Sound Studioを一部で使用)。Audacityはエフェクトが豊富でタイムストレッチなんかもあって僕には必要にして十分。ラジオ編集もこれでこなしていたぐらい。

今回の野枝さんの演目は、人間の業や欲望としての火がテーマのひとつ。その肝心の効果音、パチパチというほだ火が乾いたイイ音なんだけど、それとお経をミックスするとなにか物足りない。野枝さんには「2つの音が分離して聴こえる」と言われる。たしかにスカスカなのだ。音を足すしかないだろうということで、方々で効果音CDをチェック。自然音でも水や雷のライブラリーはあるのに、火が全然ない(汗)。

結局、唯一見つけた火を収録したCDは野枝さんが提供してくれた「ほだ火」が入ってるビクターから出ている効果音集だった(これを堂々巡りと言う)。その中の楼閣が燃え落ちる、時代劇に使われそうな音が調子よかったので(ホォーッという火の変化が一番顕著でほだ火とシンクロしやすかった)、これを細かく切り刻んでつなげてハイを削り(そのままだと、建物が壊れる音が所々に入ってしまうので)、ほだ火とお経とミックスしてみたら、スカスカした空間がちょうどよく埋まった。野枝さんからも一発でOKをもらってホッとする。

ということで、明日・明後日の2日間限りのイベントです。もし興味があれば足を運んでみて下さい。詳細は以下とコチラで(Showcase>Presentationで僕が撮った写真も一部見れます。ボケてる写真ばかりで恥ずかしい・・)。


2008年 東京公演
(源氏物語1000年祭によせて)

「火の番をする女」 〜葵の上と地唄を紡ぐ尼の物語〜
出演 俵 野枝
照明 小関 英男
音響 今井沙也可
音楽編集 富樫 信也
制作 五藤 皓久

日時 9月6/7日
18時開演(*開場は開演の30分前) 
@大雄寺 東京都台東区谷中6−1−26
入場料 2000円

予約/問い合わせ spectacle0809@yahoo.co.jp
緊急の問い合わせ 090-1707-4457
*access
メトロ千代田線:「根津」一番出口or JR:「上野」公園口、「日暮里」、「鶯谷」
(言問通りの上野桜木交差点を目指してください)
http://www.k5.dion.ne.jp/~noe/

special thanks
大雄寺/UPS http://www.upsnews.co.jp/index.html Xavi Comas(フライヤー)http://www.pbase.com/jookyaku/photos

*European public performance 17th.Sep~2nd Dec.
http://noetawara.canalblog.com/