2009/03/26

ヴォークトとヴォイス

2回続いた「ヴ」表記問題のオマケ的エントリー(内容はぜんぜん関係ないです)。

ティム・オライリーの思考法を形作った本たち - YAMDAS現更新履歴

オライリーが影響を受けた本ということで、老子、コリン・ウィルソン、フランク・ハーバートという並びに西海岸系ギークの出自を感じつつ、ヴァン・ヴォークトの名前にハッとなる。中学生のときに読んだヴァン・ヴォークトの『非Aの世界』、とにかくハチャメチャな話で展開が読めなくてスリップストリームでスラップスティックなSFだった記憶がある。僕が「ヴ」をインプットしたのはこのあたりからかも。

オライリーの原文では、『非Aの世界』は一般意味論(General Semantics)を在野でポピュラーにした一冊と紹介されている(「a fun science-fiction book」と一言)。「非A」とは一般意味論の用語で「非アリストテレス」のこと。一般意味論はチョムスキーらに科学でもなんでもないと批判されているが、中坊の自分はそんなこととはツユ知らず、「非A(Null A)」という言葉の響きだけでご飯三杯くらいイケたのだった。

A・E・ヴァン・ヴォークトは、ウィキペディアによるとサイエントロジーに騙されたり、実人生は散々だったらしい・・。関係ないが、マクロビオティックの創始者として欧米では著名な桜沢如一がソッチ寄りの神秘主義者だったことを最近知った。マクー空間の恐怖 - 文化系ママさんダイアリーにそのトンデモぶりが余すところなく書かれている。マクロビで健康は保てない問題がニセ科学としてよく取り沙汰されるが、桜沢如一本人はマクロビをイイカゲンに実践した(=適度に守らなかった)がゆえに長生きしたとの説もある。思想的な功罪はともかくとして、何事も「過ぎたるは及ばざる・・」ということだと思う。


ヴォイスを割る (内田樹の研究室)
ひとりマス・メディア (内田樹の研究室)

「ヴォイスを割る」とはなにか? 内田先生は、町田康や小田嶋隆や佐々木倫子や幸田文を例にヴォイスについて語っているが、難解なようでとてもシンプルなことを言ってる気がする(内田先生得意の身体性と関連づけられている)。「私」の中にある複数の声に耳をそばだてろ、と。「多重人格ってデフォルトでしょ? 現実なんていつだって複数のレイヤーなんだもん。だから、現実を照応するわたしも割れてるの」という現代人の心の叫び、ていうか、Twitterの構造そのものがそうだよね。Me Myself and I。「菩薩のような一行のあとに、いきなり夜叉のような一行が出てくる」。いやはや、幸田文を読んでみたくなりました。しかし、「ヴォイスを割る」ってインパクトのあるコピーだなぁ。


mnemonic memo: ヴの表記について(その1)
mnemonic memo: ヴの表記について(その2)
mnemonic memo: あたしとアタシと彼女
 

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