2008/07/28

Roy Haynes



ウィ・スリー: ロイ・ヘインズ, フィニアス・ニューボーン, ポール・チェンバース

現役のジャズのドラマーさんと話す機会があった。

トニー・ウィリアムスとエルヴィン・ジョーンズによって完成されたモダン・ジャズのドラミングの源流を訪ねると、40年代末ぐらいにロイ・ヘインズがやっていたことに行き着くのではないかという(あくまで私見ですが、と彼は断っていたが)。ロイ・ヘインズは、レスター・ヤング、その後は、チャーリー・パーカーというビバップの巨匠とパーマネントに組んでいて、同時期のアート・ブレイキーはアフロ・キューバンなビートを取り入れて明快なスタイルを作り出したが、ロイ・ヘインズはおそらく誰の影響というわけでもなく、独自のドラミングを自ら作り出したのではないかということだ。が、ロイ・ヘインズのドラミングを一言で表すような言葉は浮かばないという。

僕は、ビバップの良さが最初わからなかった人である(アート・ブレイキーはワールド・ミュージック/ダンス・ミュージックの耳でもすんなり聴けて、昔から好きだった)。チャーリー・パーカーの超絶なテクニックと凄まじいエネルギーはマンマシンのようで人間を超越してるかのように聴こえてしまい(いったい、人間という言葉が何を指して何を支持するのかはともかくとして)、たしかにスゴい!と思ったが、アメリカが最も豊かだったミッドセンチュリーの時代からとっくに遅れて生まれた自分には、とっかかりがなくて距離が遠かった。単純に調性感が薄かったのもデカいと思う。チェット・ベイカーとかスタン・ゲッツとか西海岸の(コアなジャズ・ファンからは軟弱と思われてるような)ジャズの方が、ポップで全然とっつきやすかった。これは、ヒップホップの時代にも思ったことだ。東海岸の音はおしなべてシャープでアトーナルで(調性感がなく)アバンギャルドでオプレッシブ、西海岸の音はユルくてメロウで人懐っこく解放的。大変アバウトな比較で申し訳ないが、そういうことは言えたと思う。どっちが優れているかというような論議はいまさら無意味だろう。

ジャズを聴き始めた僕が自然に共感できたのは、やはり60年代以降のものであり、それ以前のジャズはどこか別世界でよそよそしく鳴っていたり、レトロ、クラシック、エバーグリーン、オールドタイム、アウト・オブ・デイト、そんな言葉といっしょにホコリをかぶったレコード棚に埋蔵されていて、仮構されたノスタルジー、その時代をリアルに体験していないがヴァーチャルに追体験できるという意味で、こちらが能動的に再発見していくべき音楽だった。だから、90年代にモンドというムーブメントが現れたのは必然だったのだろうけれど、そうしたカテゴライズの弊害が(以下略)。

また、話がとっちらかってしまった。ロイ・ヘインズ、聴いてみようかな。そして、Jackson Contiをまだまだ聴いている。

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