2007/10/09

Oto.Hito.E.Kotoba 10

子供と記憶と幽霊


音楽を聴いてると
時々、記憶の底に
沈んだ風景が思い
もかけずユラユラ
立ちのぼることが
ある。

ノスタルジー。

人はそう呼ぶかも
しれないがそんな
カッコよくもない
醜くて恥ずかしい
忘れたい過去だと
いう場合もある。

記憶はゴースト。

肉体が消滅しても
人の心=ゴースト
は生き続けるとい
うのが攻殻機動隊
のテーマだった。

ゴーストは人間と
機械との間で自問
自答する。

俺は生きてるのか
死んでいるのか。

答えは出ない。

ゲド戦記では魔法
使いの弟子と死の
世界から呼び出さ
れた影が戦う。

影はもうひとりの
自分で、闇の中の
オルターエゴだ。

2つに引き裂かれ
た自分は、苦難の
末に1つになる。

そうかと思えば、
水木しげるの漫画
では死神は日常の
隣にいて「おい」
と親しみやすく声
をかけてくる。

ゲゲゲの鬼太郎は
元は墓場の鬼太郎
という題名だ。

ボーズオブカナダ
を聴いていると、
音楽のゴーストが
アシッドフォーク
とヒップホップが
埋まった墓場から
クロマキー合成の
夢のように蘇る。

ヒップホップ特有
の快活なスポーツ
感覚も、同志への
呼びかけもない。
ましてサグライフ
の世俗にまみれた
欲望もない。

都市生活者のカタ
ログめいた消費の
スタイルにそれは
古臭いボロキレの
ように見える。

親の世代のロック
とヒッピー文化を
愛と平和の合唱を
否定して生まれた
のがパンクとその
従兄弟のヒップホ
ップだった。

世代交代は、常に
親殺しだった。

スコットランドで
コミューン生活を
長年続けた彼らは
そんな対立はもう
意味がないよと、
静かに物語る。

ミュージックハズ
ザライトトゥーチ
ルドレン。

音楽は子供のため
にある。

カッコ悪くても、
醜くても、そんな
自分の中の子供を
愛すればいい。

世代を飛び越えた
無言のメッセージ
が彼らのザラザラ
した洗いざらしの
コットンのような
人懐っこい音楽に
隠れている。


●タイトル
ザキャンプファイアヘッドフェイズ
●アーティスト
ボーズオブカナダ
●プライス
2500yen

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