2007/10/09

Oto.Hito.E.Kotoba 08

ソノウソホント術


チョコレートで川
や城を作った男が
いた。フルコース
のディナー味ガム
も彼にしてみれば
お手のもの。

ウィリーウォンカ
が男の名前。

ジョニーデップが
演じるウォンカは
子供が憧れる天才
ショコラティエ。

でも、その実体は
イヤミで対人恐怖
症でファザコンの
偏屈者だった。

ティムバートンが
映画「チャーリー
とチョコレート工
場」で描く歪んだ
大人のファンタジ
ーは、ビタースイ
ートな味がする。

バートンはジョン
ウォーターズらと
同じくアメリカン
ポップのガラクタ
を拾い集めて悪夢
に仕立て直す。

他愛もない話だし
よくある教訓的な
童話だと考えれば
特別深みもない。

なのに、バートン
の安っぽい極彩色
バブルガムな世界
に染め上げられる
と俄然輝き出す。

そのウソっぽさが
ソノウソホントな
説得力を持ち始め
メルヘンに血が通
い、嫌いなものが
愛おしくなる。

エコ大合唱な今時
の世相に背を向け
後ろめたさを感じ
ながらも、着色料
いっぱいのポップ
キャンディについ
ハマってしまう。

そんな感覚。

ロックもジャズも
ディスコもハウス
もヒップホップも
流行音楽の多くは
そういうイケナイ
ジャンクで始まり
大人が眉をひそめ
子供が飛びついて
若者が夢中になり
才能が集まり巨大
な磁場になり層が
厚くなりアートと
してトンガったり
商売として裾野を
広げたりそうこう
してるうちに風化
して塵となる。

バートンの片腕で
音楽を手がけてる
ダニーエルフマン
もその昔オインゴ
ボインゴというB
級ニューウェイブ
バンドのメンバー
だった人物。

劇中ウンパルンパ
という小人たちの
ミュージカルでは
アバ、クイーン、
ビーチボーイズ、
Pファンクもあり
ラテンもインドも
エキゾもありで、
いかがわしさ全開
ウソっぽさ満載。

ウスっぺらいから
こそ魅かれる。

ファンタジーとは
ウソから出たマコ
トを信じさせる、
ソノウソホント術
かもしれない。



●タイトル
チャーリーとチョコレート工場(OST)
●アーティスト
ダニーエルフマン
●プライス
2,235yen

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