2008/07/31
Bjork Volta Tour
タイミングが悪いエントリーで恐縮ですが、今年2月にビョークのライヴ(東京公演の2日目)を観た時の覚え書きをアップします。
初・武道館だった。音が悪いと散々聞かされていた武道館は、天井が高く音のヌケも思ったより悪くなかったように思った。メジャー級のアーティストのライヴというのはいったい何年ぶりか。たぶん、ジョアン・ジルベルト@パシフィコ横浜以来(調べたところ、2003年9月15日だった。アンコールでの本人フリーズには本当に唖然とさせられた)。開演前は沖縄民謡がかかっていたが、ビョークのセレクトだったのだろうか。
アイスランドの女性ホーン隊はアマゾネス軍団かスリッツのジャケットアートのようで(例えが古すぎるが路線としては一脈通じる)、ビョークが着るベルンハルト・ウィルヘルムの星の子のような衣装も相まってトライバルな部族集会に招かれたような気分。ヴォーカルとホーンの絡みは「Debut」の「The Anchor Song」を彷彿とさせ、実際、同曲はアンコールでやってくれた。reactableとテノリオン(TENORI-ON)は何曲かで演奏されたが、本物もスクリーンも小さすぎて何をやってるかがよくわからず、メディアアート寄りではない今回のような普通のライヴ会場(音の解像度がそんなに高くないところ)では持て余してしまう気がした。
序盤の「All Is Full Of Love」から「Unison」という流れで、ちょっと涙腺が緩んだ(「ホモジェニック」と「ヴェスタパイン」でそれぞれ一番好きな曲だから)。「Cover Me」はキーボーディストの弾き語りの伴奏。教会オルガンっぽい音色を使ったバロッキーかつアヴァン・ジャズなアレンジで、ヴォーカルの主旋律にキーボードが安易に寄り添わずカッコよかった。このパートがあと2、3曲あっても個人的にはよかった。今回のツアーのハイライト、「Hyperballad」の後半にLFOの「Freak」がインサートされて「Plute」、アンコールの「Declare Independence」というビョークによるマーク・ベル賛歌のような流れは(この日はマーク・ベルの誕生日でもあった)、出来ればクラブで体感したかった。イマイチ地味な印象だった「ヴォルタ」で一発で気に入ったハジけたパンク・チューン「Declare Independence」はやはりライブ映えする曲だ。
ビョークの最後までよく声が伸びるヴォーカル・パフォーマンス、アレンジを含めたサウンドのクオリティにはプロフェッショナルの矜持を感じた。ステージの右の方に行く傾向があるというのもしっかり確認。ジーナ・パーキンス、マトモス、グリーンランドの女性コーラス隊&オーケストラと贅を尽くしたヴェスタパイン・ツアーを見れなかったのはつくづく後悔。
閑話休題。改めて思うが、大箱のコンサートというのはオトしどころが難しい表現形態なのではないだろうか。じっくり聴こうと思ってる間に曲はどんどん流れていくし、小箱のライヴハウスのようにミュージシャンの息遣いを感じるような親密な一体感はなく、クラブのように踊ったりボディソニックを感じるわけにもいかず、なんとなく取り残されてしまうというか不完全燃焼感が残るというか、音に没入したいのだけれどうまくシンクロできないというか(自分だけかも・・)。音響設備のいい最近のシネコンではこういう風には感じない(しかも映画の方が料金は安い)。一回性の祝祭としてのライヴというのはこれからも揺るがない価値を持つだろうけれど、リスニングとライヴの溝を埋めるような視聴スタイルというか体験型エンターテイメント(を可能にするハード/ソフト)が出てこないのかな。出てきてほしい。いやきっとそのうち出る気がする。そんな希望とも妄想ともつかない感想も残ったのだった。
bjork.com : gigOgraphy
当日のセットリスト。
Volta: Bjork
Bjorkもお気に入り、透明ブロックを操作する電子楽器『reactable』(1) | WIRED VISION
Bjorkもお気に入り、透明ブロックを操作する電子楽器『reactable』(2) | WIRED VISION
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