2009/03/23

ハーモニー

SF作家の伊藤計劃さんが亡くなられたそうだ。闘病生活を送っているというのは知っていたが、近いうちに読もう、と思っていたひとりだった。伊藤さんがブログで書かれていた映画批評には感じるところが多かった(共感、とはまた違う)。特に、昨年8月の「誰も信じるな - 伊藤計劃:第弐位相」というエントリーには自堕落な自分の頭をガツンと殴られたような気がした。「要注意ワードは「深い/浅い」です。あと「薄い」。これは、責任とか自分とか言ったものからものすごく遠い単語です」という言葉は、一見、よくある「感想文や印象批評はダメ」論に見えるけれど、「わかったような気になってるな!」というケンカ腰の崖っぷちに立った本気の構えから出てきたもので、このエントリーの下にある「余談」の文章はさらに鬼気迫るものがある。彼の強い語気にあてられて、「これとこのワードを使わないようにすればいいんだ」と教条主義的に読んでしまってはダメで、(たとえブログであっても)このくらいの覚悟を持って言葉を紡ぐ必要があるということだ。合掌。

「映画とか、絵画とか。でも、持久力という点では本がいちばん頑丈よ」
「持久力、って何の」
「孤独の持久力」
(『ハーモニー』/伊藤計劃)
 

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