2008/01/25

雑記

「モーニング」に隔週連載されている山田芳裕「へうげもの」第66話を読む。第65話で真の侘び数寄の道を共に歩もうと千利休と誓った弟子がこの回で秀吉に殺される。それを石田三成から知らされた千利休が見せた苦悶と怒りの表情の見開き。凄い。大げさだが内臓からワナワナと震えがこみ上げてくる感覚があった。この漫画はぶっちぎりでエモだ。最後のコマに「ロング・グッドバイ」の文字。チャンドラー/アルトマン。雑誌掲載時は最初と最後のコマにこういうシャレた言葉が挿入されている(単行本ではなくなってしまうのが残念だ)。隔週のライブ感覚。山田が考えてるのか編集の人が考えてるのか(たぶん後者?)。それにしても時代物なんてまるでアウトオブ眼中だった自分がこんなにハマってしまうとは・・。

楽器屋に行く。最近の機材事情にまったく疎くなってるので新鮮。スタントンのデザインが全体的に垢抜けていていいと思った。あとベスタックスのGUBERというプレイヤー。ハイファイ志向なのに玩具っぽいキュートなアールを起用していて、コワモテの高級オーディオのイメージをくつがえしている。ハードからソフトへ移行しているからこそ、ヒューマン・インターフェイスとしての楽器の重要度は増していくだろうし(monomeのような商品はこれから増えるだろう)、旧態依然のオーディオとデザインの関係が払拭されて、アップルがiPodを生み出したような革命が起こるのを期待したい。明るくない話題が多い音楽周辺だけれど、かつてのターンテーブルのように機材から音楽の新しい作法や流儀が生まれるのは間違いないだろうから。

昨年、自分の凝り固まった守備範囲をほぐしてくれたPerfumeの新曲「Baby cruising Love/マカロニ」を聴く。予想はしていたが、先鋭性は後退。中田ヤスタカのリリックも特にヒネったところがなく、初の(?)素直なラブソングに。アイドル歌謡としては正攻法で、ブレイク直後の第一弾としてはこれでいいのだろう。 個人的に聴き込むことはなさそうだが、街で流れてきたら素直にいい曲だと感じられるようチューニングされている模様。いっぱい稼いでまた「Polyrhythm」のようなトンガッた面白い曲を作ってください。

次回の「Radio Sound Painting」のテーマを及川氏と話し合って、「未来」で行こうということになった。特に音楽と結びつけず、身近な未来を語ろうというもの。とはいえ、あまりに漠然としているので悩む。コンビニで立ち読みした「クーリエ・ジャポン」最新号(ヴァージンのリチャード・ブランソンが宇宙飛行士の格好をしている表紙)がちょうどよく未来の特集。100年後には、地球上の生物の種は半減、言語も半分に減るだろうという記事。こういう環境の話って、自分は何もできないと偽善者面をするか、関係ないと居直るか、手数の少ないカードを渡されているもどかしさがある。映画「マイノリティ・リポート」にも協力したという未来学者ピーター・シュワルツは興味深い人物だ。「可能性を信じる者は生き残る」。アウシュビッツの収容所で生まれ、アメリカン・ドリームを体現した人に言われれば説得力がありすぎる。

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