ソノオトタベルナ
ご飯の上に
生卵を乗せ
醤油を
たらした
どんぶり飯を
手づかみで
かっこむ
リップリグ
アンド
パニックで
来日した
ネナチェリーと
ドンチェリーが
食事をした時の
挿話だそうだ
もしかすると
これは記憶の
サバ読みで
上に乗るのは
鰹節だった
かもしれない
ただそこには
抗し難い食欲の
欲求だけがある
カオスの濁流の
ような音楽を
20年も昔に
やっていた
ノマドな野性人
さすらいびと
チェリー親子の
食の原風景
後年ネナは
音楽シーンから
フェイドアウト
していったが
その出自からも
商業音楽の枠に
ハマる人では
なかったのだろう
ジェイディーや
マッドリブが
作ってるような
ヒップホップは
ジーンズや
ハンバーガーの
ような存在だと
あるレコード屋
のバイヤー氏の
講釈を聞いた後
粗挽きの肉を
ソテーした
ビーフパテと
生タマネギと
生トマトが
バンズの間に
積み上がった
シンプル極まる
クラシックな
ハンバーガーを
別添えソースで
食べたくなる
という衝動は
なんなのか
基本レシピは
同じなのに
ちょっとした
塩の加減や
手順の違いで
味はガラリと
変貌してしまう
食と音は似ている
いつもそこに
なんとなく
空気のように
存在していて
手を伸ばすと
触れることが
すぐにできて
気に入れば
いつでも
手に入り
新しくも
ないかわり
古くもない
なにかを
常食にするには
こんな前提が
必要でこれは
簡単なようで
不断の努力と
あつらえた
環境がなければ
実現しない
ソウルフードの
ように食べたい
と思うこの国の
音楽をそんなに
多くは知らない
男前豆腐
イベリコ豚
カカオ70%
二八そば
それらはとても
美味しいけれど
常食にすれば
飽いてしまう
音楽を売るには
成分表示も
カロリー表示も
義務づけられて
いないから
どれを食べても
安心などとは
誰も言えない
食べて
噛み砕いて
咀嚼して
みないと
正体は
わからない
ごちそうさまが
言いたくて
人は逡巡する
●タイトル
アイムコールド
●アーティスト
リップリグ&パニック
●プライス
2,990yen
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