2008/09/19

「ー(音引き)」のナゾ

マイクロソフト、「ブラウザ」を「ブラウザー」にするなど300語以上の表記を変更へ - GIGAZINEという記事を読んで、時代に逆行してないか?とほんのり思った。

以前は自分も「コンピューター」と語尾を伸ばしていた。イメージとしては、大昔の磁気テープがガチャコン回っていて「計算機」とか「演算処理」という言葉が似合いそう。それが「コンピュータ」になったのはいつ頃だろう。一極集中型のメインフレームから分散型コンピューティングへ、スパコンからパソコンへという変化のどこかの地点?

いつの頃からか、「ブラウザー」は「ブラウザ」、「フォルダー」は「フォルダ」、「プリンター」は「プリンタ」、「プロバイダー」は「プロバイダ」、「コントローラー」は「コントローラ」と表記するようになっていた。音引きナシの方が字面や語感的にシャープでキリッとしたモダンな印象だ。

でも、「スキャナ」や「カスタマ」や「サーバ」はなんだか落ち着かない。「スキャナー」は「暗闇のスキャナー」や「スキャナーズ」で刷り込まれてしまってるし、「サーバー」は「アイスクリームサーバー」などIT以外の場面で使われるからか。「カスタマ」は語感的に「カス玉」を思い浮かべてしまう。「ユーザ」や「スピーカ」もしかりで違和感がぬぐえない。

・・・と思ったら、作家の森博嗣さん(「スカイ・クロラ」の原作者)は、「クーラ」「モータ」「ファクタ」「スーパ」「ホームセンタ」「オファ」と、自身のブログで音引き省略を駆使していて、ちょっと、というか、かなり驚く。いや、そもそもタイトルから「クロラ」だし。これに関しては個人差が激しそうだ(森さんは理工系出身と知って納得する)。

「工学系の学術用語では、3音以上のカタカナ用語の末尾の音引きを省略するのが原則。これは戦前に全日本科学技術団体連合会という団体が決めたもので、その元には英語発音への誤解がありますが、工学系学術用語やJIS用語の多くはこのルールをそのまま踏襲しているんです」([雑学] IT用語とかJIS規格etc.音引きの秘密に迫った | RxR | R25.jp)

今回のマイクロソフトの決定は1991年に国語審議会が定めた外来語表記ルールに従ってるらしい。音引きを省略するのは戦前のルールだから、歴史的にはずっと古い。

違和感のあるなしは個々の言葉がどのように社会と接点を持ってきたかによって変わってくるわけで。IT専門用語としては音引きナシ、一般語としては音引きアリという使い分けがニュートラルな実感としてあり、コンピュータやインターネットが普及したいまとなっては、音引きナシの方が今後、趨勢になっていくのでは?と勝手に予測してみる。もしくは、書く時は音引きナシ、口に出して読む時は音引きアリ? 単純に、一字減るだけで入力の手間が省けるというのはデカイ。

ちなみに、昔から「パーティー」は「パーティ」と音引きナシで書くようにしている。だからナンダと言われると困るが。カタカナ表記って奥が深い。

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