アフターアワーズ
90年代はじめに
渋谷系の聖地だっ
た旧HMV渋谷店
があった場所は今
ではパチンコ屋の
ジャラジャラとい
う音がチャラチャ
ラした街並みと歩
幅を合わせて響く
ウォータービズな
場末の匂いがする
当時渋谷系を牽引
する某ユニットが
そこで行ったイン
ストアイベントに
偶然通りかかった
バービー人形とか
フランスギャルと
かトゥイギーとか
を完コピした手足
の細い女の子達が
生きたマヌカンと
化して茫然自失に
棒立ちでフリーズ
プリーズプリーズ
ミーな消費イズム
で空間はむせ返る
無表情にステージ
を見つめる彼女ら
の姿はナチの集会
もかくやと思えて
DJブースに面と
向き合って踊ると
いうクラブ界隈で
散見された珍現象
にも通じるサムさ
にクラクラと悶絶
絶句したのだった
お洒落がオサレと
蔑称のニュアンス
で語られるように
なるのはかなり後
だけどこの頃から
リアルという言葉
が誰からともなく
ささやかれ始める
リアルかどうかが
表現の本気度を計
るバロメーターと
して定着するのと
渋谷系という浮き
足だったそれゆえ
切実だった音楽が
廃れていったのは
どこかで通じ合う
渋谷系は情報天国
トーキョーが作る
ニワカでハリボテ
でウソっぽさ全開
コピーのコピーは
素敵だと開き直り
カタログとネタで
トンチをヒネった
その編集センスの
面白さは海外にも
輸出されてウソっ
ぽいのがミョーに
リアルという逆転
現象を生んだのだ
グルーヴチューブ
の中でハシャイで
浮かれたのも昔話
もう僕たちは情報
に疲れてしまって
知識は皆でシェア
するのがクールで
マイルームを本と
レコードとDVD
で埋め尽くすのも
なんだかダサいね
と言われかねない
時代に生きている
コレシッテル!も
ダカラ?と冷たい
レスが返るだけで
ウンチクは町場の
ナンパ術たりえな
くなったのだろう
ソシテ
セカイハ
ヤヴァイト
カワイイニ
オオワレル
こんな時はじっと
沈黙するのも手だ
●タイトル
毎日の環境学
●アーティスト
小沢健二
●プライス
3,000yen
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