コズミックな老人
スコーンと抜けた
空ひねもすのたり
雑誌トキオン主宰
のフリーパーティ
コズミックロック
ジャムが催された
代々木公園に行く
五木田智央&ジム
オルークの天使と
恍惚という名前の
バックトゥバック
DJが春の陽気に
妖気を誘う楽しさ
次のDRニシムラ
がハウスをプレイ
気づけばお洒落な
ジイサンが一人は
スタンスミスを履
いてたらしい中腰
で板についたキレ
とコクがある踊り
を披露しはじめた
黙々とストイック
に舞踏する彼らに
若者たちは腰砕け
完全に負けている
これはタダモノで
はないと思いつつ
パーティの終盤で
井上薫のステージ
の上で踊り続ける
ジイサンに観衆は
歓声を上げ続けた
代々木公園の主は
75歳だと聞いた
第二次世界大戦を
幼少時に体験した
日本の戦後の生き
字引のような存在
こんな妄想が働く
高度成長期を植木
等の無責任男よろ
しく謳歌しながら
彼はマルクス思想
にかぶれ政治闘争
に足を踏み入れる
感覚の解放を提唱
した68年当時の
サイケデリックな
文化の波をモロに
受けて同年に誕生
した赤坂ムゲンに
通いつめ華やかな
ヨコモジ業界人と
日本の夜遊びの夜
明けをグルーヴィ
に過ごすヒッピー
第一世代に変貌し
76年ポパイ創刊
と共に米西海岸の
サーファー文化に
触れ波乗りとなり
原宿と鎌倉湘南を
行き来し80年代
以降は次第に時代
の波からフェイド
アウトしながらも
芝浦ゴールドでヴ
ォーギングしたり
野外レイヴで踊る
姿を目撃されたり
するようになった
かは知らぬ存ぜぬ
赤瀬川原平が10
年前に老人力とい
う言葉を使い出し
20世紀のたそが
れの終末のその後
アフターアワーズ
をまさにマッタリ
と生きていく知恵
を編み出したのは
記憶に新しいとい
うか宵越しの記憶
は持たないという
忘却力の気っ風の
良さが老人力だし
スリムに低燃費で
適度に力を抜いて
ワビサビをナビに
イッツオーライと
ええじゃないかと
江戸の狂騒乱舞の
記憶も忘却の彼方
●タイトル
ムーンドッグ
●アーティスト
ムーンドッグ
●プライス
2,006yen
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