夢見る乙女は何処
彼女はティーンの
頃に買ったコムデ
ギャルソンの底に
穴が空いた革靴を
今でも大事に履き
つづけている。
身体を資本にする
マテリアルガール
の傍らで、モード
の昼とエレクトロ
クラッシュの夜を
彼女は往復する。
ある日、フリルの
ロングスカートを
着た女性が交差点
に立ち尽くす。
フリルは重く深く
垂れレースは太陽
から身を潜める。
乙女の重力圏内は
ブラックホール。
純潔は純血。その
血は何より赤い。
リネンは理念とは
折り合いが悪い。
ロマンティシズム
は現実と折り合い
が悪い。そう相場
は決まっている。
オリーブガールも
いつか現実と衝突
して水玉と格子柄
の世界から目覚め
る時が来る。
ライナスが毛布を
手放すように。
あるいは彼女たち
はその姿を変えて
現実に適応してる
かもしれない。
カメレオン並みの
素早さで。
かつて平岡正明は
山口百恵は菩薩だ
と書いた。
そんな大時代的な
最大級の女性賛歌
を今どきの女の子
は涙出るほどに笑
うとストレスさえ
も吹き飛ばす今日
も明日もかまわず
ハメをはずしてお
かないとセックス
アンドザシティを
見たり鼻歌まじり
で飲み明かせば何
にも怖くない慰め
あえば強気になれ
るテルマ&ルイー
ズみたいに女同士
も捨てたもんじゃ
ないの。
行きつ戻りつ始点
と終点をつないで
終わりのない日常
はハイパーでミニ
マルなテンション
で輪舞=ロンドの
ように回廊=コリ
ドーのようにグル
グルと回るそれは
ガールトーク。
ヘルムートニュー
トンの写真みたく
男の視線を鋼鉄の
表情でハネかえす
安室奈美恵の強さ
は、君のすぐ横に
いるホームガール
の気安さで、菩薩
もアフロディーテ
もいらないとつぶ
やくのだ。
「ガールトーク」
も「WoWa」も
原始の雄叫びに聞
こえるのはなぜ?
この資本主義社会
でバーコードを体
に刻んで穴を掘り
続ける花咲く乙女
は現実を選んだの
だからガラスの靴
はもう用済みだ。
パーティは永遠に
続くのだから。
●タイトル
クイーンオブヒップホップ
●アーティスト
安室奈美恵
●プライス
3,059yen
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